1.食料品アクセス支援を通じた高齢者のフレイル・低栄養予防
フレイル(虚弱)は高齢者の要介護リスクを高めます。フレイルの予防には、運動・栄養・社会活動の3本柱が大切です。当研究室では、地域の活動団体様と協力し、高齢者の身体・認知機能、体組成・栄養状態、食生活、社会性の関係を明らかにするためのコホート研究を進行しております。
高齢期に適切な栄養状態を維持するためには、栄養価の高い食料品を入手し、調理し、摂取する「食料品アクセス」が大切です。しかし、近年、「買い物弱者」や「買い物難民」と呼ばれる、買い物に困難を抱える高齢者が増えています。食料品アクセスには、身体的・地理的・社会的な要因が複雑に関与しています。そこで、当研究室では、食料品アクセス状況を包括的にアセスメントするための尺度を開発しました。本尺度を元に、高齢者の食料品アクセスの要因分析や支援方法の開発を行っています。
2.スキンフレイルに対する栄養ケア方法の開発
加齢に伴い、皮膚の乾燥や菲薄化が進行し、外力に対する抵抗力が低下します。このように皮膚が脆弱(ぜいじゃく)になった状態をスキンフレイルと呼んでいます。スキンフレイルは、スキン-テア(皮膚裂傷)などの創傷発生リスクを高めるとともに、掻痒感によって高齢者のQOLを低下させます。スキンフレイルの進行には、栄養状態や全身のフレイルが密接に関与することがわかっています。当研究室では、高齢者のスキンフレイルの評価法を開発し、病院やリハビリ、施設、地域の場において啓発をするとともに、栄養学的な観点からの予防・ケア方法を研究しています。
3.褥瘡予防のための創傷・栄養アセスメント技術開発
褥瘡は、要介護者や障害者に発生しやすく、創や全身の感染を引き起こし、生命に関わる創傷です。また、治癒するまでに数か月~数年かかる難治性の創傷であるため、いったん発生すると本人の苦痛につながり、多くの医療・介護資源を必要とします。
褥瘡の危険因子は日常生活(寝る、座る、食べる、排泄する)にあります。当研究室では、褥瘡の予防や悪化兆候の早期発見のためのアセスメント技術の開発を目指しています。特に、車椅子利用者の座圧分布測定のための教育方法や超音波診断装置を用いた褥瘡や筋肉のアセスメント方法を研究しています。また、褥瘡・WOCケアに関わる看護師や管理栄養士の臨床研究の支援を行っています。
研究に関する情報公開(オプトアウト)
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づき、対象者への侵襲や介入もなく診療情報のみを用いる研究等については、対象者から個別に直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的や実施についての情報を公開し、拒否の機会を保障することが必要とされております。
当研究室で実施中の研究は以下の通りです。なお、研究への協力を希望されない場合は、お問合せください。